就活において、エントリーシートや面接では、「ガクチカ(学生時代に力をいれていたこと)」と「自己PR」が必須項目として質問されます。しかし、

「「ガクチカ」と「自己PR」は内容が同じになってしまうが、はたしてこれでよいのだろうか?」

「「ガクチカ」と「自己PR」はそもそも何が違うのだろうか?」

そんな不安や疑問をお持ちの方々も多いことでしょう。

たしかに自己PRの中にガクチカの内容が含まれても違和感はありませんが、企業側はわざわざ分けて質問しているだけに、真の意図をきちんと理解したいものです。

そこで当記事では、「ガクチカ」と「自己PR」は同じ内容になってしまってもよいのか?その違いは何なのか?など徹底解説します。

ガクチカと自己PRの違いとは?

企業が質問する意図が違う

ガクチカ:仕事に取り組む姿勢が知りたい

企業が就活生に「ガクチカ」を質問するのは、物事に対する取り組みや意欲、課題に直面した際の向き合い方を知りたいからです。

例えば、運動部で大会優勝に向けて計画的に粘り強く練習に取り組み、チームメンバーを引っ張ったことのある就活生に対し、企業は「プロジェクトの中でもリーダーシップを発揮し、仕事を計画的に進めて大きな成果に導いてくれそうだ」と考えることができます。

このようにガクチカは、入社後、課題に直面した際にどのように向き合うのか、また、しっかりと乗り越えることができるのか」といった部分を確認するために質問しています。

自己PR:自社とマッチするか確認したい

企業が就活生に「自己PR」を質問するのは、自社が求める人物像にその就活生がマッチするのか確認したいからです。

いくら優秀な人材であっても、就活生の強みや価値観、性格などが自社が求める人物像とマッチしていなければ、入社後ミスマッチによる早期退職につながってしまうかもしれません。

そのため、企業は自己PRを通して、就活生の長所や人柄を把握し、自社とマッチするかを確認しています。

就活生がアピールしなければならないポイントが違う

ここまで解説してきたように、ガクチカと自己PRでは企業が質問する意図が違います。

そのため、それに伴って就活生がアピールしなければならないポイントも異なります。

ガクチカ:物事の取り組み方

ガクチカでは、企業は就活生の物事に対する取り組みや意欲、課題に直面した際の向き方が知りたいので、就活生は物事の取り組み方をアピールしなくてはなりません。

例えば、ガクチカを質問され、就活生の中には「部活のキャプテンを任され、大学初の全国大会に出場することができた」「焼肉屋のアルバイトで売上を〇%上げた」など、成果に重きをおいてアピールする人がいます。

しかし、ガクチカでは物事の取り組み方や課題に直面した際の向き合い方を企業は知りたいので、例えば「大会前はケガ人続出でしたが、試合でメンバー全員が持てる力を発揮できるように、まずは私から一人ひとりに声がけを徹底して、目標に向かう気持ちを一つにした」など成果を出すまでの苦労や感じたことなどを中心にアピールするとよいでしょう。

自己PR:強み、長所、人柄

自己PRでは、企業は自社とマッチするかを確認したいので、自分の強みや長所、人柄をアピールしなくてはなりません。

企業が求める人物像は、企業のホームページや採用ページなどに記載されていることもあれば、企業説明会やインターンへの参加、OB・OG訪問などから理解できることもあります。

事前にこうした人物像を把握し、自分とも合致している強みや長所、人柄をアピールするとよいでしょう。

作成する際の構成の仕方が違う

ガクチカ:STAR法

STAR法とは、

・Situation(状況)

・Target・Task(目標・課題)

・Action(行動)

・Result(結果)

の頭文字を取った言葉で、過去の経験や実績をもとに、どのような状況でどのような課題に直面し、どのような行動を取り、その結果として何が得られたのかを明確に示す構成方法です。

S:私は大学で〇〇に力を入れました

T:活動の中で〇〇という目標を立てました

A:この目標を達成するために〇〇をしました

R:〇〇を得られました

といった構成になります。

自己PR:PREP法

PREP法とは、

・Point(結論)

・Reason(理由)

・Example(具体例)

・Point(結論)

の頭文字を取った言葉で、ある主題や意見についての立場や考えを明確に、論理的に伝える構成方法です。

P:私の強みは〇〇です

R:この強みは〇〇という経験で活かされました

E:この経験では~(具体的な例)

P:私の強みは入社後〇〇という場面で活かせると考えています

といった構成になります。

「ガクチカ」と「自己PR」が同じ内容でもよいのか?

「ガクチカ」と「自己PR」のテーマが同じであっても問題はありません。

例えば、テーマとは「部活動」「ゼミ活動」「アルバイト」などです。

さらに、アルバイトをテーマにした場合、ガクチカでは「物事の取り組み方」をアピールしなくてならないため「アルバイトでの接客品質を向上させるために、私は後輩たちに接客マニュアルを作成しました」といった内容で構成します。

また、自己PRは「自分の強みや長所、人柄」をアピールしなくてはならないため、「自分の強みである陽気さとコミュニケーション力の高さを活かした接客で、お客様にご満足いただけた」といった内容で構成します。

しかし、テーマに加え、内容までが同じだった場合、企業が求めているアピールにはつながらないため注意しなくてはなりません。

例えばエントリーシートで「ガクチカ」と「自己PR」といった質問項目が設けられていて、どちらも文章がほとんどいっしょだったとしたら、企業の採用担当者はどのように感じるでしょうか?

質問を分けている企業の意図を再度よく考え、内容までが同じにならないよう、伝えるべき要点を変えてアピールしましょう。

「ガクチカ」と「自己PR」が見つからない場合は?

自己分析

「ガクチカ」と「自己PR」が見つからなかった場合は、自己分析を徹底して行ないましょう。

自己分析は「自分史」の作成がおすすめです。

自分史は幼少期から現在までの経験を喜怒哀楽別に振り返ってみましょう。

喜怒哀楽別とは「うれしかったこと」「辛かったこと・頭にきたこと」「悲しかったこと」「楽しかったこと」で、それがなぜそのように感じたのか?そこから何に気づき何を学んだのか?どんな成果や失敗があったか?などを列挙しながら自分を客観視しましょう。

そして、経験や思い、感情などを付箋などに書き、俯瞰しながら自分の強みや弱み、価値観、特徴、性格は何かを考えていきましょう。

他己分析

「自分のことは自分が一番よく知っている」と考えがちですが、自分のことは自分が一番よく知らないともいえ、自分が思う自分と他人が思う自分とでは印象が異なるときもあります。

そのため、「ガクチカ」や「自己PR」が見つからなかった場合、家族や友人に自分についてを聞く他己分析も有効な手段となります。

他己分析では、「ガクチカ」と「自己PR」に活かせるように、質問の仕方を変えてみるとよいでしょう。

「ガクチカ」を考えやすくするための質問

・どんな時にうれしそうに(苦しそうに、怒っていそうに、悲しそうに、楽しそうに)見えるか?

・課題に直面したときにどんな対応をしていたか?

・複数人でいるときの役回りは?

・どんな仕事で活躍できると思うか?

・私のことで記憶に残っているエピソードは?

・成長してほしいと思うことは?

・会話をする上で何か問題はあったか?

「自己PR」を考えやすくするための質問

・長所と短所は?

・私を他人にどう紹介する?

・どういう性格だと思う?

・直した方がいいところは?

・すごいとか尊敬できると思えることはある?

・向いていそうな仕事は?

まとめ

「ガクチカ」と「自己PR」は応募書類でも面接でも企業から質問されますが、両者は企業が質問する意図が異なります。

「ガクチカ」は就活生の仕事に対する取り組む姿勢が知りたいのに対し、「自己PR」は自社とマッチするかを確認するためにこの質問をしています。

よって、アピールするところも「ガクチカ」は物事の取り組み方となり、「自己PR」は自分の強み、長所、人柄などになります。 また、伝え方や構成も異なり、「ガクチカ」はSTAR法、「自己PR」はPREP法となります。

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