2023年11月で創業70周年を迎える産案グループホールディングスの一員であるアクシアエージェンシー。新聞、ラジオ、テレビなど時代の流れの中で「広告」を扱い、1970年に子会社として設立後は求人・採用に特化してサービスを進化させてきました。設立半世紀を越えながら、今なおスタートアップやベンチャーのような挑戦意欲と柔軟性を併せ持つ秘訣はどこにあるのでしょうか。今回、事業部長の神津さんに詳しく伺いました。

取引企業の事業成功を目的にした、新たなサービスたち。

求人広告の代理店からコンサルティング会社への変化として、一番大きいのはどういった部分ですか?

当社の基幹事業は、求人広告の代理店。しかし企業の採用成功は、あくまでその企業の事業成功へのピースの一つに過ぎないと考えています。そこで新たな採用手法を軸に、いま進めている期待の事業が2つあります。1つは、リクルートダイレクトスカウト、ビズリーチに代表される、企業が直接求職者へアプローチをする、「ダイレクトリクルーティング(DR)」。ターゲットの細分化、求人票の細分化、そこに合わせたスカウトと、適切なマッチングを図るコンサルティングを行っています。2つめは、会社自らが保有するメディア(HP・採用サイトやブログサイト、SNSなど)を軸に、WEB広告なども活用し直接求職者へメッセージを発信する「オウンドメディアリクルーティング(OMR)」です。

株式会社アクシアエージェンシー
リクナビ2025よりエントリー受付中

逆風の中でも新事業のタネはすくすく。道を拓く。

採用とWEBマーケティングを結びつける動きを会社として始めたのは2年半前。当時、社内にWEBマーケティングの部門は無かったので、まずは自分たちの準備期間として「自社のマーケティングからやろう」というのが始まりでした。半年間でノウハウを貯めて、それを採用領域に転換すると決め、どうにかやり方が見えてきたので、半年後には事業として立ち上げました。事業化前の名称はWEBマーケティング推進室で、私を含め3名という体制。当社には「ジェネシスプランコンテスト(通称ジェネシス)」という、職務内容や役職を問わず誰もが手を挙げられる新規事業アイデア公募制度があります。メンバーの1人はジェネシスにて「SNSのブランディング」をやってみたいと、提案してくれた内勤事務の女性社員。もう1人も女性で、人事のアシスタントとして面接日程の調整など、非常に丁寧で細やかな対応を実践してきたタイプ。WEBマーケの仕事にも合いそうだし、コロナ禍で自社の採用業務が減ってきていたこともありの人選で、両名とも私から声を掛けました。

まずは少数精鋭からのスタートだったんですね。具体的にはどういった活動から始めていったのでしょうか。

採用成功事例や中途採用広告の改善のポイントなど、当社のノウハウやナレッジを紹介する記事を、自分たちで作成してサイトにアップしたり、SNSに投稿し、そこからの問い合わせを企業から募るというところから始めました。しかしスタートメンバーは全員WEBマーケ未経験という陣容だったので、最初は本当に大変でしたね。

何もわからない中、ネットや本、動画でひたすら勉強して、やってみる、運用してみる。アカウントを開設してみる。自分たちでSEO対策を学び、一記事1万文字くらいのボリュームで各自月に5本くらい書く。営業マンに記事作成の協力をお願いすることもありました。当時、新規顧客への営業アプローチは、こちらから企業へ電話を掛けるテレアポか飛び込み営業が軸でした。しかしコロナ禍で、電話をかけても先方担当者は在宅勤務だと言われたり、飛び込みもできない状態。基幹事業においても確実に問合せを増やすためにWEBマーケを推進する必要がありました。

そこで目標に掲げたのは、WEBマーケの領域で3年後に月100件の問い合わせを取るというゴール。現在、記事は積もり積もって500件。お問合せ数は月に35件ですが、大手企業からが非常に多くて「掲載したい」「代理店を変えたい」「コンペに参加してほしい」という、ニーズがほとんどですし、その70%ほどはお取引に至っています。独自のサイト記事で様々な採用手法を提示することで、競合する代理店との差別化を実現できました。作成は一部外注に出していますが、営業マンにお願いするケースもあり、その数は全体の1/3ほど。彼らも半泣きながら新規が取れると喜んで書いてくれていますよ。また、まだ形になっていないサービスも記事として掲載し、その反応を見ることでデータを取りながら新しいサービスを考えていく。

今は「採用ブランディング」というキーワードの閲覧ボリュームが増えきているので、その路線ベースでサービス展開できないかを検証しています。もはやWEBマーケは、当社にとって新しいサービスを増やす大事なツールとなりました。同時に自社の採用活動においても、当社に応募してきたほとんどの方が「他の会社と違って、いろんな課題解決ができるんですね」とか「いろんなサービスを展開しているんですね」と口をそろえるほど、関心をもっていただいており、採用力を上げるという効果も出ています。

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適材適所。本当にやりたいを実現できる。

前出のジェネシスは、入賞して具体的な事業化に至るプロセスで担当役員が付き、スタートアップ活動費が与えられます。また今年1月に新規事業開発室を開設でしたが、ジェネシスとは別で、すでに30件のエントリーがありました。アクシア人材の特徴として営業職は、ただの物売りではない、「顧客の課題を解決したい」「そのためにいい提案がしたい」というメンバー志向が土台にあります。また社長を始めとする経営ボードもお客様の事業解決という視点で事業展開を図っているので、本気でやるならNOとは言いません。経緯・経過に対してもダメなら撤収すればいいので、アドバイスはしても文句などの口出しはしません。ですから広告代理店として60年以上の歴史はありますが、新サービス展開に対して労使ともに考え方の自由度は高いと言えるのではないでしょうか。たとえばご覧のポケット就活は、ジェネシス入賞からの事業化検証GOが出ていますが、活動費を利用してβ版のプロダクトをさっそく開設。スモールスタートにて仮説検証を進めています。いわば、やったもの勝ち。十分に検討を重ねながらも、即行動に移すのがアクシアらしさと言えるのかなと思います。

こうした風土形成には、“一人ひとりの「働く」を、もっと楽しく。”という、企業理念が根底にあります。
当社は「ミッショングレード制(MG制度)」という役割等級制度を運用しています。メンバーはCan(できること)Will(仕事だけではなく将来自分が目指したいこと)を言語化して、半年ごとに目標を定め、その成果や将来に対する進捗をメンバーと会社が共有しています。ですからメンバーの得意・苦手・やりたいことは把握できているので、異動・抜擢で間違うこともありません。仕事でちょっとくすぶっているから、こういうものにチャレンジさせた方が活躍できるから、という見方で背中を押しています。またジョブチャレンジという制度で、メンバー自ら手を挙げて、職務内容を変えることもできますし、この職務をずっと続けたいという意思表示もできます。このように適材適所にて、チャレンジする場を沢山用意。新事業もその一つであると考えています。当社で活躍できる人、それは課題解決に対して喜びを見いだせる素養を持ち、自ら考えて行動に移せる人ですね。

事業部長プロフィール

神津 秀明(こうづ ひであき)
株式会社アクシアエージェンシー
ビジネスソリューションユニット ユニット長
新規事業開発室 責任者

■2005年1月 行政書士試験合格
■2005年3月 アクシアエージェンシー入社
行政書士としてやっていく前に社会を知り、人脈を作りたい。3年で学ばせてほしい。
そんな動機で当社へ契約社員として入社。1年後に正社員昇格。
その後、顧客の課題に対して、その要因を紐解いていくことや、関係者を巻き込みながら解決しに行くのが楽しい、やれることが多くて面白いと、当社で働き続けることを選択。マネージャー職、執行役員を歴任し、「事業横断で行うプロジェクトをはじめ、全体の舵取りまでやらせてもらっている今が、自分にとって理想の形ですね。」と現在に至る。

■気になる趣味は・・・
サッカーの探求(息子連れで本場スペインへ旅行)、
読書(年間100冊以上)、飲み会(Ave年間150回)

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